KUGENUMA 2016 Residence_Kugenuma_Kanagawa
- OVERVIEW
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- Use :
- Residence
- Size :
- 140 ㎡
- Type :
- New construction
- POSITION
- architect / contractor
新しい住まい手と家の関わり
自分自身も建築を構成する要素として、お互いに支え合う
住まい手と建築の、厳しくも親密な関係
鵠沼海岸から5km程内陸に入った住宅地に、黒い板張りのキューブを積み重ねた形の家がある。敷地は、南東の角地で道路より一段高くなっており、住宅地としては理想的だ。
設計では、間取りやデザインの他に、クライアントの希望としてユニークだったのが、「建物のどこにでも手が届くようにして欲しい」というもの。それから「複雑で汎用性のない資材や機械はなるべく使わないようにして欲しい」というものだ。いつでも誰でも簡単にメンンテナンスを行えるように、家の隅々まで把握出来ている状態を維持したいという希望だった。
クライアントとは長年の友人でもあり、そうした姿勢は、彼の身の回りの道具との付き合い方にも現れている。そうした中で、最初に決めた事は、屋根の上に日常的に登れるようにするという事だった。南方の質素で気楽な住宅のイメージを参考にしながら、日本の環境を考えて、最終的にはこのカタチに納まった。
内部はシンプルで無駄のない空間だ。光と風の抜け心地が抜群で、階段上部のトップライトからは季節と時間によって異なる光が差込み、窪んだ中庭に面したガラス戸を開けると、いつでも心地良い風が家の中を通り抜けていく。
住まい手が、建築の特性をよく把握して、外部環境の変化に対応する工夫をする事によって、機械に頼らなくても、ある程度快適な室内環境が作り出せる事が大きな魅力だ。