KAWAGOE 2017 Residence_Kawagoe_Saitama
- OVERVIEW
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- Use :
- Residence
- Size :
- 150 ㎡
- Type :
- New construction
- POSITION
- architect / contractor / construction manager / artisan
木と漆喰と瓦の素晴らしさ
家の素材と文化、街並み
素材から建築を考えると面白い
人間は、建築に様々な材料を用いるが、その中でも古今東西、最も古くから用いてきたのは、石と土と木だ。そして、その使われ方も、場所によって千差万別だ。西洋建築は石、東洋建築は木、というイメージがある。確かにその傾向はあるものの、中国や北欧の伝統的な建築を見れば、実際はそこまではっきりと分かれている訳でもない。この話は、どちらかと言えば、その素材の持つ本質的な特性と、思想的な背景が重ねられて語られているように思う。石は無限、永遠のシンボルであり、木は有限、生命のシンボルだと思うとわかりやすい。
どのような素材を使って建築をつくるのかは、そうした文化的な影響もあるが、やはり基本になるのは、その素材自体がその場所に沢山あるかどうか、それを利用出来る技術があるかどうかで決まる。建築は、人間が作るものでは、一番大きく、しかも大量に作られるものなので、なおさらその傾向は強い。
地球を思い浮かべてみると、真ん中にマグマがあって、その回りを石=岩盤の層が覆い、その表面が土で覆われ、そこに沢山の木が生えている。その三つに対して、人間が、切る、運ぶ、繋ぐという行為をひたすらに繰り広げているのが、変わらない建築の風景だ。そして、更に火と水という魔術的な道具を使うことによって、その可能性は無限に広がっていく。鉄、セメント、ガラスといった近代的な建築材料は、この不思議な道具によって、初めて成立つ。
何故、このような話をするのかと言うと、建築の材料について考えることは、建築の本質について考えることと深く結びついているからだ。素材に対する体感、洞察のない建築は、糸の切れた凧のように、力強さや迫力にどこか欠けている。
川越のこの家では、木材、漆喰、瓦という材料を用いた。日本の伝統建築に永く使われてきた素材だ。間取りや外観もシンプルで日本のどこにでもありそうな家だが、細かな技術の積み重ねと素材の魅力をそのまま活かす工夫が随所にされている。