HONGOU 2012 Residence_Hongou_Tokyo
- OVERVIEW
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- Use :
- Residence
- Size :
- 120 ㎡
- Type :
- Renovation
- POSITION
- architect / contractor / project manager / construction manager / artisan
アートと暮らす日常
日常がアートと溶け合い、自然な形で毎日の活動に活力を与えてくれる
そういった空間をクライアントであるアーティストと共につくる
個性的で調和のとれた、落ち着きのあるアートな暮らし
本郷にあるヴィンテージマンションの代表格として有名な建物の一室を全面的に改修した。イギリス人で日本の文化にも造形が深く、ヘアーカットデザインを行うアーティストである旦那さんと、プロのシェフ顔負けの料理人でビジネスでは旦那さんのマネージメントを取仕切る敏腕マネージャーの奥さんとは、個人的に長年の友人であり、建築家の自分とは異なる言語を使ってはいるが、感受性にはとても親しいものがあるため、設計のプロセスは愉しく進んだ。また御自身もアーティストでありながら、新しいアーティストの作品のコレクターでもあるため、そうした作品コレクションを見ながら、それらを置く空間といった話からも全体のイメージが広がっていった。
話は逸れるが、設計する建築が、どういった街にあるのかという事に、自分は大きな影響を受ける。同じクライアントで同じ要望を聞いたとしても、その建物がある場所で浮かぶ発想は全く異なるものだ。ここは本郷という住所だが、どちらかと言うと東大の本郷というより水道橋の近くに位置する。とても面白い場所で、東大からのアカデミックな匂いを残しつつ、目の前には東京ドームがあり、裏側を歩くと路地には古い商店が残っていて下町の風情も感じられる。表通りを先に行けばビジネス街という感じで、なんとも不思議な交差点のようなエリアだ。交通のアクセスも八方に広がっており大変便利で、そうした街のキャラクターと交通網の在り方が同じように重なっていることも興味深い。
今回の仕事では、そうした本郷の街を背景にしながら、美しさと機能性の調和がとれた程良い空間ができたと思う。とても個性的でありながら実にバランスの良さを感じさせるクライアントの人柄が、空間にも映し出されている。全体的には白いトーンだが、壁や天井の色を微妙に変化させながら、細かい表情を重ねる事で、空間に落ち着きや奥行きが生みだされた。その中でも個人的に一番印象に残るのはエントランスのスペースだ。プランを決める段階では最後まで悩みながらも、最終的には必要な収納スペースを外部ストーレッジを借りて納める事で、ゆとりのある空間にすることが出来た。クライアントらしい暮らしを象徴する素敵な空間だ。