DAIKANAYAMA 2013 Residence+Gallery_Daikanayama_Tokyo
- OVERVIEW
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- Use :
- Residence / Gallery
- Size :
- 100 ㎡
- Type :
- Renovation
- POSITION
- architect / contractor / project manager / construction manager / manufacturer / artisan
非日常の美しさに満ちた空間
生活の場=家 でありながら、そうした日常の気配を全く感じさせない生き方
見た目が全てという居住空間の潔さ
数多くのCMを手掛けるクリエーティブディレクターの住居として、日本でも指折りの築古集合住宅を全面的にリノベーションした。このプロジェクトを語るには、まずはクライアントのユニークな個性の話を少ししたい。彼がディレクターとして作った映像は、どれも美しい。CMなので美術作品とは異なり、そこには明確な目的があり、それは決して美を追求する事では無い。それにもかかわらず、彼の仕事ではコンセプトやアイデアといった事が霞んでしまう程、見た目の美しさが強く印象に残る。たぶんこれは職業以前のクライアントの個人的な抑えがたい衝動のようなモノが、画面を通して現れているのだと思う。
場所は、代官山から程近い静かな住宅街。敷地内の建物の配置は、経済的な理由から現在では実現が難しいであろう、ゆったりとしたプランになっていて、窓の外から見える中庭には、大きな樹木がたくさん生い茂っている。私が関わった西洋建築としての集合住宅の中では、一番古い建物だ。間取りは、上下二層に分かれた空間が中央の階段でつながるメゾネットになっていて、上階をプライベート、下階をパブリックなスペースとして計画した。また古い建物ならではの、当時の建築技術の足跡があちこちに見えて、そのディテールにも味わいがある。
ここでは、クライアントの個性を映し出して、モノのカタチ、色、質感に徹底してこだわった。眼に見えるコトを何よりも大切にした。実際の生活の場である住宅で、そこまでこだわる事は、クライアント自身にも大変な努力が必要とされるし、今まで住居でそこまでやりたいという人に出会う事もなかった。自身の建築家としての考え方は、また別の所にあるが、そうした事をやり抜く潔さに大きな刺激を受けた。
出来上がった空間には、そうした感性がはっきりと表れていると感じる。確かな質感を伴う非日常の空間には、澄んだ空気が流れている。