CHIBA 2013 Residence_Chiba
- OVERVIEW
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- Use :
- Residence
- Size :
- 240 ㎡
- Type :
- Renovation
- POSITION
- architect / contractor / project manager / construction manager / manufacturer / artisan
築200年の古民家の再生
宮大工、左官といった日本独自の伝統的な技術を受け継ぐ職人達と近代的な建築技術者とのコラボレーション
日本の伝統的木造建築の素晴らしさ
日本の首都 東京の歴史は、江戸時代に始まる。江戸時代の日本というのは、世界的に見ても極めて平和で安定した時代であり、1603年から1868年までの約260年の間、大きな戦乱もなく続いた。そして平和で安定した時代背景と経済の発展を後盾として、当時の江戸では、多様で豊かな文化・芸術が数多く生み出された。歌舞伎、能、文楽等の芸能も、この時代に大きな発展を遂げた。
このプロジェクトでは、そうした江戸時代後期に伝統的な手法でつくられた民家を、現代的な建築技術によって再生させた。同時に、過去から受け継ぐべき貴重な伝統的な建築技法についても、積極的に採用した。実際の現場は、まさに現代と過去の日本建築のコラボレーションといった風景だった。
日本の伝統的な木造建築の素晴らしさは、世界最古の木造塔である法隆寺の五重塔や世界最大の木造寺院である東大寺を見ても分かるように、その価値は世界に少なからず知られている。ただそうした評価に比べて、現存する伝統的な木造建築は少ない。その主な理由は二つある。一つは、江戸時代が終わり明治時代になると、工業力により近代化を遂げた西欧諸国に対峙しなくてはならない時代になり、それまでの長く続いた鎖国状態への反動もあり、伝統的な価値観や技術を排斥する雰囲気が社会に蔓延し、多くの伝統的な建物が西洋の価値観に基づいたものに置き換えられた。二つ目は先の戦争で日本の都市部は壊滅的な打撃を受け、多くのものが失われたためだ。
そうした歴史に翻弄されながらも、奇跡的に残存する築200年の建築の再生計画が、日本全国から集まった選りすぐりの技術者並びに職人の献身的な協働作業により実現した。