廊下の長い家

廊下の長い家

この家で一番印象に残るのは、30メートルもある長い廊下だ。真ん中でLの字に折れて、それぞれの部屋は、両端に繋がっている。効率の良い間取りでは、決してない。敷地の条件から、このような形になっている。仮に、この廊下を一日に10回往復すれば、10年で約1500kmを家の中で歩く事になる。

そんな間取りだが、個人的には、とても好きだ。

廊下は、移動するための空間なので、「歩く」ということ自体が、視覚的にも身体的にも強く印象付けられる。面倒くさいと感じてしまえば、ストレスになってしまうが、子供が遠足に行くときのように、どこか楽しい場所に向かうというイメージを持てたなら、どうだろう。実際に小さな子供たちは、効率などという世界には、あまり頓着せず、たのしげに走り回っている。それぞれの廊下の先に何が待っているのかという、暮らす側のイメージや考え方で、廊下の意味も随分かわる。

建築は、よくも悪くも、とても人間的で正解のないものだ。

外の景色の向こう側に、今「自分がいる家」が見える景色。外と内の柔らかな繋がりを感じる空間。

さかの

竣工: 2017
場所: 表参道 東京

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