木と漆喰と瓦の家

木と漆喰と瓦の家

人間は、建築に様々な材料を用いる。

その中でも古今東西、最も古くから用いてきたのは、石と土と木だ。西洋建築は石、東洋建築は木、というイメージがある。確かにその傾向はあるものの、中国や北欧の伝統的な建築を見れば、実際はそこまではっきりと分かれている訳でもない。この話は、どちらかと言えば、その素材の持つ本質的な特性と、思想的な背景が重ねられて語られているように思う。石は無限/永遠のシンボルであり、木は有限/生命のシンボルだと思うとわかりやすい。

どのような素材を使って建築をつくるのかは、文化的な影響も大きいが、基本になるのは、その素材自体がその場所に沢山あるかどうか、それを利用出来る技術があるかでどうかで決まる。建築物は、人間が作るものでは、一番大きく、しかも大量に作られるものなので、なおさらその傾向は強く、程良い地産地消は、当然の流れだと感じている。

地球を思い浮かべてみる。真ん中にマグマがあって、その回りを石=岩盤の層が覆い、その表面が土で覆われ、そこに沢山の木が生えている。その石・土・木に対して、人間が、切る、運ぶ、繋ぐという行為を延々と繰り広げているのが、変わらない建築の風景だ。そして、火と水という魔術的な道具を得ることによって、人間は、その可能性を大きく広げてきた。鉄、セメント、ガラスといった近代的な建築材料は、全てこの二つの不思議な道具によって、初めて成立つ。

この家では、木材、漆喰、瓦という日本で永く使われてきた素材を用いた。間取りや外観は、シンプルで日本のどこにでもありそうな家だが、素材の魅力をそのまま活かす繊細な技術の積み重ねと工夫が随所にされている。

素材に対する洞察、体感の少ない建築は、糸の切れた凧のように、どこかホンモノの迫力に欠けている。

さかの

竣工: 2018
場所: 川越

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